
交通事故で死んだ男子高校生が「地獄めぐり」をする、というお話。
本物の「地獄めぐり」ですよ、別府にあるやつじゃナーイ!
2016年のミュージカル・ホラー・コメディ作品ですけども。
脚本と監督を担当した宮藤官九郎さんって、ホント才能がある方ですね。
ホメ言葉しか見つかんない。
アンタ100点満点ですよ、これで二重まぶたのイケメンだったら!(←早速ホメてませんけども)
宮藤官九郎さんの世界観が、テレビ局のフィルターを通さずにスクリーンから炸裂。
性や暴力の描写もOK。
純度の高い宮藤官九郎さんのエキスが出てますよ、モロに!
度数の高いお酒を、お水で割らずに飲んだ感じ。
原液で飲んだ感じですよ、チョーヤの梅酒とかカルピスとかを!
ものすごいB級感のあるセットと、キャラクターの高テンションで、一見すると完全おバカ映画に見えますけども。
結局、死んだ人と、生き残った人との関係は、時間を超えて永遠に続いていくことを描いているんですよね。
時空を超えたラブ・ストーリーという一面が素晴らしいです。
観終わったとき、ちょっと感動してしまいました。
天国だって、愛する人が一緒にいないと地獄も同然、幸せは愛次第、という、宮藤官九郎さんの天国論・地獄論も面白いです。
テーマは愛ですが、その上からロックという音楽性を被せて照れ隠し。
音楽要素をふんだんに取り入れて、いかにもクドカンっぽい、カルチャー映画としての一面も。
ギターを弾くチョイ役で、ローリー寺西さんやマーティ・フリードマンまで出てきてビックリ。
ローリー寺西さんもマーティ・フリードマンも、なんとなく地獄に馴染んでる。
2人とも浮世離れしてっからね、元から!
地獄にて、炎柄のセーラー服を着たガールズバンドで激しくドラムを叩いているのがシシド・カフカさんで、またビックリ。
シシドさんは、この映画以降にNHKの朝ドラに出演、今年はディズニー/ピクサー作「リメンバー・ミー」の日本語版主題歌を担当ということで。
急激な出世だわな、地獄の底から!
はい上がってきたわい!!
他にもいろんなミュージシャンが出てきて、クドカンの人脈を感じました。
結構渡してんね、名刺!
そんな音楽性と地獄と愛に、伏線を仕掛けてコメディ・ストーリーにキレイに落とし込んでいるところに唸りました。
地獄にいる赤鬼キラーKを演じている長瀬智也くんも、こんなバカみたいな役を上手にこなしておりました。
クドカンは、長瀬智也くんの持ち味である、チャラさの奥にある誠実味を上手に引き出してきますわな。
素材の旨みを引きだすんですよ、ほんだしみたいに!
クドカン・ワールドって、そのカルチャー・ネタやストリート感は日本人の心に刺さるものですけども。
海外の人には響かないところが残念~。
翻訳不能の傑作でした。